相続税申告が済んだ方
1.税務調査が行われる可能性がある時期までの注意点を説明します。
- 相続税の税務調査の概要
- 相続税申告に対する税務調査への対応
2.ご希望により相続人の将来の相続税額を試算し、下記のような節税のアドバイスをいたします。
① 収益を生まない不動産の活用、又は売却のいずれが良いか。
② 生命保険はどのくらいにすればよいか。
③ 相続税率との兼ね合いで連年贈与をする場合、どの程度すればよいか。
相続税の税務調査について
相続税の税務調査の概要
相続税の調査は、申告書を提出して早ければ半年遅ければ1年半後にある場合があります。税務署から相続人の方と税理士に通知があります。
調査は原則として亡くなった方の住んでいたところで行います。
調査は全ての相続税の申告について行われるわけでなく、申告件数の約3割について実施されています。遺産の多い方や医師、会社の経営者は調査の確率が高くなります。
1 税務署の事前調査について
- (1).故人が取引していた銀行や証券会社に過去10年くらいの取引の資料を依頼します。
- なお、同居親族と故人が同じ金融機関と取引している場合はその親族の資料もあわせて依頼します。場合によっては別居の親族の資料も取り寄せます。
- (2).故人の過去の所得税確定申告書を見ます。また会社の役員であればその会社の資料を集めます。
2 税務署が事前調査でチェックすること
- (1).故人の預貯金への入金から、所有する株式等の配当の有無、利息の有無
- (2).預貯金の出金から
- ① 贈与の有無 特に3年以内
② 多額の出金がないか
③ 固定資産税の支払先から遠方の不動産の有無 - (3).親族名義となっている金融資産であっても実体は故人の資産ではないか。
- ① その預金の開設時の申込書の筆跡は誰のものか
② その預金の管理状況や印影はどうか
3 訪問調査について
- 故人の経歴についてたずねます。
- 故人の親族の職業や経歴について(子供や孫も)
金融機関に勤めているとそこに財産を預けていないかどうか。 - 故人の趣味について
趣味を聞くことによって、貴金属、絵画など申告されていない資産がないかどうか確認。最近の調査の実例ですが、趣味として家の改造と答え、最近家が増築されていたことから、その建築費が遺産として申告漏れが見つかったこともあります。 - 亡くなった原因や亡くなる前の状況
亡くなる前に贈与があった場合、故人の意思でなされたかどうか確認するため。 - 故人の金融資産について取引先を念のためたずねることがあります。
日常その預金の出し入れを本人がしていたか。又は誰かに依頼していたかなど。この件に関する答えは、知っている範囲で答えて下さい。 - 同居親族で所得、年齢から考えて不相当に多額の金融資産を所有している場合はその資産の形成理由や、その金融資産が真実その親族本人の資産かどうか。(被相続人のものでないかどうか?)
従って相続税の調査は亡くなった方の資産だけでなく相続人の預金なども調べます。むしろ相続人の財産を調べに来ると考えてください。 - 時によっては調査で質問された事について答えた内容を調査官が記入し、これに署名を求められることもありますが、署名する義務はありません。
- 相続した財産のその後の状況として、どのように運用しているかを確認し、他の人に贈与していないか調べる場合があります。
- 預貯金や印鑑、その他の重要な品物を貸金庫や家の金庫に入れてある場合は調査官が保管場所までついて来ます。そのようなことがあっても差し支えないように用意しておいて下さい。
- 全般に大切なこと
色々質問されますが、はっきり思い出せないことは「よく覚えていないので思い出したら答えます。」と言って、無理に答えないでください。
また、質問されたこと以外はなるべく喋らない様にしてください。ただし世間話は別です。
税務調査は任意調査ですが、質問に答える義務はあります。しかしわからないことは無理に答えず、「今は思い出せませんので考えます。」と答えます。
また調査官によっては誘導尋問的な聞き方をします。たとえば下記のような聞き方です。
質問
『あなたは亡くなった方から財産の贈与を受けたことがございますか。』
答え
大抵の方は「貰っていません。」と答えます。
その後税務署が調べた結果、8年位前に亡くなった方からそのように答えた方の預金へ入金があった場合に税務署は次のような言い方をします。
『これはもらったお金ではないということになりますね。』
『貰っていないのですから預かっているか借りているお金ですね。』
『預け金又は貸付金として相続財産に含め申告してください。』
ここでの税務署の質問に対する答えとしては下記のように答えたらよいです。
貰っていないと思っても
「貰った記憶はないですが、随分前だと貰っているかもしれません。」
4 調査の時間について
当日 | 午前中は被相続人の経歴や相続人の経歴などを尋ねます。また、預金の管理の仕方や、被相続人の預金の引出は誰が行っていたか等を聞いてきます。 午後は被相続人や相続人の通帳などを見たり、貸金庫があると銀行まで同行します。時には葬儀の出席者の記帳を見ます。 |
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後日 | 税務署は銀行や証券会社に、相続人と被相続人の財産を調べます。これが1ヶ月程かかります。(金融機関の返事が遅いので) 特に問題がなければ、「これで終わります。」と税務署から言ってきます。疑問点があれば再度調べに参ります。 そして何か問題点があれば、税務署から税理士に、税務署へ来てくださいと連絡があり、そこで税務署の主張を聞き、私も申告漏れがあると納得した場合は相続人に説明の上、修正申告することになります。 納得できない場合は税務署と交渉します。 そして合意点を見つけるよう努力します。 |
相続税申告に対する税務調査への対応
相続税の申告に対する税務署の調査の割合は概ね3割です。また税務署の調査による遺産の申告漏れも平均3,000万円となっているため、なるべく調査対象とならないような申告書を作成する努力をしております。もちろんこれはお客様のご協力が不可欠です。
私の事務所での最近の調査割合は約1割です。しかし更なる調査の減少を目指し、この2年間の申告では税理士法に定められている書面添付制度を積極的に利用しております。
また、当然のことですがほぼすべての申告について私を含めた税理士が主体となって接客及び申告書の作成に関わっております。
書面添付した場合の利点
- 税務署が調査する以前に原則として税理士に質問し、解明した場合は調査に移行しない。
- 申告書は数字の羅列ですが書面添付により、より詳しい説明を記載する事ができる。
- 大抵の書面添付に、作成する預貯金の過去の移動を確認し、遺産の漏れがない事を確認します。
- 書面添付に同意して下さった相続人に、添付の趣旨を説明し、疑問点の解明にご協力していただけます。
- 書面添付に関する資料の作成は申告書の作成の最終段階で行いますので、申告内容の再確認ができます。
調査が行われる時期について
申告書の提出時期にもよりますが、概ね提出後早くて半年から、1年半後になります。